日本国憲法前文と9条及び自衛隊に関する内省

現在の日本国憲法はアメリカによって押し付けられたものであり、この国の独自の憲法ではないという世論が大半となってきている印象を受ける。しかるに自衛隊について考えるとき、自衛隊もまた、アメリカの意向により組織されたものであることが忘れられているか意図的に隠蔽されている印象を受けざるを得ない。現在の日本国憲法が外来のものであれ、また、自衛隊が外来のものであれ、私たちがこの戦後の歴史の中で双方を受容してきたものであることには何人たりとも異論はないであろう。あたかもそれらは、私にかつての神仏習合を想起させる。

私は、幼少のころに日本国憲法前文と第9条を読んだ時の感動を決して拭い去ることが出来ない。そこに書かれている徹底非暴力の闘争は、マハトマ・ガンジーがそうした闘いを続けたように、どんなになぶり倒されようとも丸腰で立ち上がる無抵抗による闘争を思い起こさせる。現在の自衛隊を受容してきた先人の知恵は、同時に現行の憲法を受容してきた先人の意思でもある。このことは、アメリカによる日本支配とは全く別の問題である。私の考えでは、日本国憲法は外来であるが、それとは関係なくすでにわれわれが受容し育んだ独自の憲法に他ならない、というものである。